○市川三郷町中小企業・小規模企業振興基本条例

平成28年3月17日

条例第14号

(前文)

市川三郷町は、一千年の歴史を誇る「手漉き和紙」、武田信玄の烽火に始まる「花火」、明治初期の水晶加工技術の発展とともに起こった「印章」などの誇るべき伝統産業が息づき大切に受け継がれ成長を遂げてきた。

このような伝統産業のほか、本町産業の中核をなしてきたのは町内事業者の大多数を占める中小企業等であり、中小企業等が地域経済や地域生活を支える基盤として大きな役割を担ってきた。

しかしながら、昨今の本町の経済的・社会的環境は、経済のグローバル化、少子高齢化、人口減少や社会構造の変化に直面しており、中小企業等を取り巻く環境は厳しい。

このような中、次代に引き継ぐべき経済の持続的な発展、町民生活の向上のためには、中小企業等の自主的な努力はもちろん、中小企業等が地域に果たす役割について、地域社会を構成する町民や行政等の様々な主体が共通認識を持ち、協働して中小企業等の振興に向けた取組を展開していくことが必要不可欠である。

ここに、中小企業等の振興、町民生活の向上の実現に向け地域全体が一体となり、施策を総合的に推進するため、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、中小企業等の振興について、基本理念を定めるとともに、町の責務、中小企業等の努力、地域経済団体、大企業、金融機関の役割を明らかにすることにより、中小企業等に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって本町の経済の持続的な発展及び町民生活の向上に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 中小企業等 中小企業者及び小規模企業者をいう。

(2) 中小企業者 中小企業基本法(昭和38年法律第154号。以下「法」という。)第2条第1項各号のいずれかに該当する者で、町内に事務所又は事業所を有するものをいう。

(3) 小規模企業者 法第2条第5項に該当する者で、町内に事務所又は事業所を有するものをいう。

(4) 大企業 中小企業等以外の事業者で、町内に事務所又は事業所を有するものをいう。

(5) 地域経済団体 商工会法(昭和35年法律第89号)第3条に規定する商工会並びに中小企業等の振興を目的とする団体で、町内に事務所又は事業所を有するものをいう。

(基本理念)

第3条 中小企業等の振興は、次に掲げる各号を旨とし行うものとする。

(1) 中小企業等の創意工夫が生かされること。

(2) 中小企業等の自主的な努力を助長し、その経営の向上、革新及び創業が促進されること。

(3) 中小企業等の経済的社会的環境の変化への円滑な適応が図られること。

(4) 国、県、町、中小企業等、地域経済団体、大企業、金融機関及び町民の相互の連携・協働を推進することにより中小企業等の事業の成長と持続的な発展が図られること。

(町の責務)

第4条 町は、前条の基本理念にのっとり、中小企業等の振興に関し町の自然的経済的社会的諸条件に応じた施策を策定し実施するものとする。

2 町は、中小企業等が地域経済の活性化並びに町民生活の向上に資する事業活動を通じ地域社会に貢献していることについて、住民の理解を深めるように努めるものとする。

(中小企業者の努力)

第5条 中小企業者は、基本理念にのっとり、経済的社会的環境の変化に対応して、その事業の成長発展を図るため、自主的に経営基盤の強化、経営革新、人材の育成、雇用の促進及び従業員の福利厚生の充実に取り組むよう努めるものとする。

2 中小企業者は、自らが地域社会を構成する一員として社会的責任を自覚するとともに、地域社会との調和を図り、豊かで住みよい地域社会の実現に貢献するよう努めるものとする。

3 中小企業者は、地域経済の振興を図るため、町産品の積極的な利活用及び地域経済団体への加入に努めるものとする。

(小規模企業者の努力)

第6条 小規模企業者は、基本理念にのっとり、経済的社会的情勢の変化に対応して、その事業の持続的な発展を図るため、自己の知識及び技能を活用して自主的にその円滑な事業の運営に努めるものとする。

2 小規模企業者は、相互に協力しながら多様な主体と連携するよう努めるものとする。

3 小規模企業者は、地域経済の振興を図るため、町産品の積極的な利活用及び地域経済団体への加入に努めるものとする。

(地域経済団体の役割)

第7条 地域経済団体は、基本理念にのっとり、中小企業等の経営の向上及び改善に資する積極的な支援に努め、中小企業等の相互連携の促進に努めるものとする。

2 地域経済団体は、町が実施する中小企業等の振興施策に協力するとともに、振興事業を積極的に推進するものとする

(大企業の役割)

第8条 大企業は、その事業活動を行うに当たっては、自らが地域社会を構成する一員として社会的責任を自覚するとともに、中小企業等が自らの事業活動の維持及び発展に欠くことのできない重要な存在であることを認識し、中小企業等との連携及び協力に努めるものとする。

2 大企業は、地域経済の発展における中小企業等の果たす役割の重要性を理解し、町が実施する中小企業等の振興施策に協力するよう努めるものとする。

(金融機関の役割)

第9条 金融機関は、中小企業等が経営の革新及び経営基盤の強化に取り組むことができるよう、円滑な資金供給をはじめ経営相談等により支援するとともに、町が実施する中小企業等の振興施策に協力するよう努めるものとする。

(町民の協力)

第10条 町民は、中小企業等が地域社会の発展及び町民生活の向上に重要な役割を果たしていることを理解し、中小企業等の発展に協力するよう努めるものとする。

2 町民は、消費者として中小企業等が町内で生産し、製造し、加工した産品を購入し、また提供するサービスを積極的に利用するよう努めるものとする。

(基本的な施策)

第11条 町は、中小企業等の振興に関する施策の実施に当たっては、基本理念にのっとり、地域経済団体、金融機関その他関係機関と連携し、次に掲げる事項を基本として実施するものとする。

(1) 中小企業等の経営の革新を促進すること。

(2) 中小企業等の創業の促進及び新たな事業の創出を促進すること。

(3) 中小企業等の労働関係の安定、労働者福祉の向上を支援すること。

(4) 中小企業等に対する資金供給の円滑化を図るための適正な融資の指導及び融資制度を支援すること。

(5) 中小企業等に必要な人材の育成、確保を支援すること。

(6) 地域経済の活性化のため、雇用の創出を促進すること。

(7) 町が発注する工事、物品購入、請負等における中小企業等の受注機会の増大に努めること。

(8) 町、中小企業等、地域経済団体、大企業、金融機関及び町民との連携を促進すること。

(9) 中小企業等の振興に関する町民の理解を深め、協力を促進すること。

(財政上の措置)

第12条 町は、中小企業等の振興施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(委任)

第13条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、町長が別に定める。

この条例は、平成28年4月1日から施行する。

市川三郷町中小企業・小規模企業振興基本条例

平成28年3月17日 条例第14号

(平成28年4月1日施行)