○市川三郷町議会基本条例
平成25年9月27日
条例第21号
目次
前文
第1章 総則(第1条)
第2章 議会及び議員の責務及び活動原則(第2条―第12条)
第3章 議会と町民の関係(第13条―第16条)
第4章 議会と町長執行機関の関係(第17条―第22条)
第5章 議会運営及び議会機能(第23条―第30条)
第6章 議会及び議会事務局の体制(第31条―第35条)
第7章 議員の定数、議員報酬等及び政治倫理(第36条―第41条)
第8章 最高規範性及び見直し手続(第42条・第43条)
附則
(前文)
市川三郷町民(以下「町民」という。)から選挙で選ばれた議員により構成される市川三郷町議会(以下「議会」という。)は、市川三郷町長(以下「町長執行機関」という。)とともに、二つの代表機関を構成する。
議会は、町民の信託に応え、議会の責務を常に自覚して意思決定を行うことにより町民福祉の向上を図ることはもとより、“顔の見える自治体”としての住民自治を尊重しなければならない。
議会は、多様性を重視する合議体であり、いわゆる地方分権一括法の施行以降、その責任と権限が拡大した。議会の使命を果たすために議会及び議員の責務を明確に示し、自由で闊達な討議環境の充実、透明性の確保、情報の公開等に努め、議決権及び調査権の自覚の下に責任の大きさを痛感しなければならない。
議会は、先人たちの築いた歴史と伝統を踏まえ、ここに、議会の最高規範である市川三郷町議会基本条例を定める。町民に身近で信頼される議会を目指し、町民及び町長執行機関とともに市川三郷町のまちづくりに寄与すべきものである。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、議会の運営及び議員活動の基本的事項を定め、公開原則により開かれた議会を確立するとともに、町の将来像及び課題に対し町民の意思を的確に反映できる議会運営の推進を図り、市川三郷町のまちづくりに寄与することを目的とする。
第2章 議会及び議員の責務及び活動原則
(議会及び議員の責務)
第2条 議会及び議員は、議会の最高規範であるこの条例に定める理念及び原則並びにこれらに基づいて制定される条例、規則、規程等を遵守し、町民を代表する合議制の機関として、町民の信託に応え、責任を果たさなければならない。
(議会の開催)
第3条 議会の定例会の開催回数、日程及び運営については、協議し、定めなければならない。
2 議会の定例会の回数は、市川三郷町議会の定例会条例(平成17年市川三郷町条例第4号)に定めるところによる。
3 議会の会期及び運営等は、市川三郷町議会会議規則(平成17年市川三郷町議会規則第1号。以下「会議規則」という。)の定めるところによる。
4 議会は、会議を定刻に開催するものとし、会議を休憩する場合には、再開時刻を宣告しなければならない。
5 議会の日程は、開会ごとに、議会運営委員会で協議し、本会議で定める。
(議会の活動原則)
第4条 議会は、次に掲げる原則に基づき活動しなければならない。
(1) 町民を代表する議事機関であることを常に自覚し、公正性、透明性及び信頼性を重視して、町長執行機関の町政運営状況を監視し、及び評価すること。
(2) 町民の多様な意見を把握して町政に反映させるために、必要な政策を自ら立案し、又は町長執行機関に提案することにより、町民とともにまちづくりの活動に取り組むこと。
(3) 町民に開かれた議会を目指して情報公開に取り組むとともに、町民に対して議会の議決又は運営についてその経緯、理由等を説明すること。
(4) 町民に分かりやすい議会運営を行うために、この条例に規定するもののほか、議会運営の基本となる会議規則、市川三郷町議会委員会条例(平成17年市川三郷町条例第202号)並びに議会内で別に定める申合せ事項を継続的に見直すこと。
(自由闊達な討議)
第5条 議会は、合意形成の場としての透明性を重視し、幅広い意見を尊重するとともに、発言し、討議できるよう環境を確保しなければならない。
2 議会は、本会議で議決するに当たっては、議長が必要性を認めた場合においては、議員間討議を設ける等十分に議論を尽くして意思決定をしなければならない。
3 議会は、本会議、常任委員会及び特別委員会等の会議において、論点を明確にするとともに分かりやすい言葉を活用し、運営しなければならない。
4 議会は、本会議、常任委員会及び特別委員会等の会議において、議案、請願、審査等に関し議員の討議により議論し、町民に対し説明責任を果たさなければならない。
5 議会は、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)に規定する公聴会制度及び参考人制度を活用し、議会の審議に反映するよう努めなければならない。
(重要政策の審議)
第6条 議会は、町長執行機関がまちづくりの基本構想に基づく重要な企画立案を行った場合又は大規模災害若しくは重要課題等が生じた場合は、その策定段階から、議会と十分な情報及び意見の交換を行うよう求めるものとし、町長執行機関がその求めに積極的に応じるよう働きかける。
(附属機関の設置)
第7条 議会は、町民本位の議決、審査、調査等の自由闊達な討議及び意思決定を行うため、識者等からなる議会の課題を諮問する審議会を設置することができる。
2 議会は、町民本位の意思決定、町長執行機関の監視、政策提案等議会の活動原則が行われているのか把握するため、町民による議会モニターを設置することができる。
(議会改革の推進)
第8条 議会は、議会の信頼性を高めるため、議員全員参加の検討組織を設置し、不断の改革に努めなければならない。
(議員の活動原則)
第9条 議員は、議会を構成する一員として、次に掲げる原則に基づいて活動する。
(1) 議会が言論の場であること及び合議制機関であることを十分認識し、議員間の討議を重んじること。
(2) 日常の調査及び研修活動を通じて自らの資質向上に努め、町民の代表者としてふさわしい活動を行うこと。
(3) 議会の構成員として、一部団体及び地域の代表にとどまらず、住みよいまちづくりを目指して活動すること。
(4) 町政の課題全般について町民の意見を的確に把握し、議会活動について、町民に説明責任を果たすこと。
(議決責任)
第10条 議会は、議決責任を深く認識するとともに、議案等を議決し、自治体としての意思決定又は政策決定をしたときは、町民に対し説明する責務を有する。
(調査権)
第11条 議会は、行政監視の責務を果たすため、常に細心の注意を払い、行政事務に関し疑問、疑念等が生じた場合には、調査権を行使しなければならない。
2 議会は、法第100条第1項の規定により行う調査のための調査機関を設置するほか、専門的事項について必要があると認めるときには、同条第2項の規定により、識者等に調査させるものとする。
(災害発生時の対応)
第12条 議会は、大規模災害が発生し、町長執行機関が災害対策本部を設置した場合においては、市川三郷町災害対策本部と連携し、市川三郷町議会災害対策本部を設置し、町民の生命及び財産の保全に努めなければならない。
2 前項の市川三郷町議会災害対策本部の設置に関し、必要な事項は、別に要綱で定める。
第3章 議会と町民の関係
(説明責任及び町民意見の把握)
第13条 議会は、町民に対して議会活動に関する情報を発信し、説明責任を果たすとともに、町民の多様な意見を把握しなければならない。
2 議会の情報は、議会の議決又は運営についてその経緯、理由等を説明するとともに分かりやすい表現に努める。
3 議会の本会議及びその他の会議は、特別の場合を除き公開し、会議録を作成し、永久保管する。
4 議会は、町民に対する説明責任を果たすため、自主編集による議会広報を定例会ごと発行しなければならない。
(議会報告会)
第14条 議会の説明責任を果たすため、議決又は運営についてその経緯及び結果を示す議会報告会を開催しなければならない。
2 議会は、町民の多様な意見を把握するため、議会公聴会を開催することができる。
3 議会報告会及び議会公聴会の開催に当たっては、公共施設を活用することができる。
(請願及び陳情)
第15条 議会は、請願及び陳情を申請者からの政策提言と位置付け、次に掲げる原則に基づき処理する。
(1) 請願及び陳情の審議は、議長が議会運営委員会に諮って審査の必要があるものと認めるものは、請願書の内容により処理すること。
(2) 議会運営委員会の決定により、請願書及び陳情書の周知が必要と認めたものは、会期中に書類を議員に配布すること。
2 法第99条の規定により、議会は、申請者からの要望、意見等を慎重に審査し、採択した請願書については、関係機関に送付する。
(住民直接請求の確保)
第16条 議会は、“顔の見える自治体”の住民自治を推進するため、町民から町長執行機関及び議会に対する直接請求が行われた場合は、これを妨げてはならない。
2 議会は、町長執行機関が法令に基づく住民投票等又は住民意向調査を行う場合は、これを妨げてはならない。
3 議会は、議会独自の課題に対し、必要と認める場合においては、住民に対し、住民投票又は住民意向調査を行うことができる。
第4章 議会と町長執行機関の関係
(議会と町長執行機関の関係)
第17条 議会は、二元代表制の下、議事機関として町長執行機関との緊張関係を保ちながら、町民の信託に応えなければならない。
(議案の説明)
第18条 議会は、町長執行機関に対し計画、政策、施策、事業等(以下「政策等」という。)を提案するときは、政策等の水準を高めるため、政策等の決定過程を説明するよう求めるものとする。
2 議会は、前項の政策等の提案を審議するに当たっては、政策等の立案及び執行における論点及び争点を明らかにするとともに、政策等の執行後における政策評価に資する審議に努めるものとする。
3 議会は、町長執行機関に対し、議会に提出する議案の十分な説明資料を準備し、議会運営委員会の開催後速やかに配布するよう求めるものとする。
(予算及び決算の説明)
第19条 議会は、町長執行機関が予算及び決算を議会に提出し、議会の審査に付すに当たっては、前条の規定に準じて、町長執行機関等に対し施策別又は事業別の分かりやすい政策説明資料の作成に努めるよう求めるものとする。
(質疑等)
第20条 議会の本会議及び委員会における町長執行機関等への質問並びにこれに対する答弁は、町政策上の論点及び争点を明確にするため、一問一答方式で行う。
2 議長及び委員長から、本会議その他の会議に出席を要請された町長執行機関の説明員(以下「町長等説明員」という。)は、議員又は委員の質問に対し適切な答弁をするため、議長又は委員長の許可を得て次に掲げる事項について質問することができる。
(1) 適切な答弁をするために必要となる事項
(2) 論点を明確にするために必要となる事項
3 一般質問は、議員活動の重要性からこれを尊重し、次の原則に基づき行う。
(1) 適切な答弁を求めるため、質問の内容全文を事前に議長に通告すること。
(2) 議会運営委員会は、通告された質問内容を協議し、議長が管理すること。
(3) 質問は、一問一答対面方式で行うこと。
4 議会は、町長等説明員に対し、明瞭で分かりやすい答弁を求めるものとし、説明資料等の提出もこれを妨げない。この場合において、答弁は次に掲げる原則に基づき行う。
(1) 答弁の内容は、第18条第2項の規定に準じて答弁することを求めること。
(2) 一般質問の事前通告のある答弁については、議長が管理することができること。
(議決事件)
第21条 法第96条第2項の規定により、議会の議決すべき事件は、次に掲げる事項に係る策定に関することとする。
(1) 市川三郷町基本構想及び基本計画
(2) 町民生活に重大な影響が予想される計画並びに町長執行機関及び市川三郷町教育委員会(以下「教育委員会」という。)で策定される重要施策に基づく計画
(専決処分)
第22条 議会は、災害発生時又は緊急執行など特別な場合を除いては、臨時会を招集し、専決処分での執行を少なくするよう町長執行機関に求めるものとする。
第5章 議会運営及び議会機能
(委員会の活動原則)
第23条 委員会は、それぞれの設置目的に応じた機能が十分発揮できるよう運営されなければならない。
2 委員会は、状況に応じ本会議場、委員会室その他公共施設で開催することができる。
(常任委員会)
第24条 常任委員会は、委員会の専門性及び特性を活かし、公正公平かつ透明性を確保し、活動しなければならない。
2 活発な常任委員会活動を行うため、議会閉会中においても委員長の判断で常任委員会を開会できるよう措置しなければならない。
3 特別の場合を除き、議員のほか委員長の許可を得た者の常任委員会の傍聴を認め、議員においては、委員長の許可を得て発言することができる。
4 常任委員会の議事録は、要点筆記とし、永年保管するとともに、開示の要求に対し速やかに公開できる状態にしておく。
(特別委員会)
第25条 特別委員会は、町政又は議会の重要案件に対応して設置するものとし、目的達成後は、速やかに解散する。
2 特別委員会の議事録は、要点筆記とし、永年保管するとともに、開示の要求に対し速やかに公開できる状態にしておく。
(全員協議会)
第26条 全員協議会は、議員同士の情報共有や意見交換のため、会議規則第127条第12項の全員協議会を定期的に開催するものとする。
2 全員協議会の議事録は、要点筆記とし、永年保管するとともに、開示の要求に対し速やかに公開できる状態にしておく。
(会派の結成)
第27条 議員は、議会活動を行うため、その旨を議長に届け、会派を結成することができる。
(討論による合意形成)
第28条 議会は、町政及び議会の事件に対し、本会議、委員会及び全員協議会を通じて多角的見地から多様な意見を基に討議し、議員相互の十分な討論及び議論を尽くして合意形成に努めるとともに、その結果について町民に対して説明責任を果たさなければならない。
2 議員は、議員間相互の討議を拡大するため、政策、条例、意見書等の議案を積極的に提出するよう努めるものとする。
3 議員は、積極的な議案提出を推進するため、町民の意見を把握するとともに、自己研鑚に努めなければならない。
(議会の広聴及び広報)
第29条 議会は、情報技術の発達を踏まえた多様な広報手段を活用することにより、多くの町民が議会及び町政に関心を持つよう議会広報活動に努めるものとする。
2 インターネットの活用においては、その活用範囲を拡大するため、議会が独自の回線を所有することができる。
3 インターネットの活用範囲は、改選ごとに協議する。
4 インターネット活用における本会議、委員会等の議事録の公開については、改選ごとに協議する。
(議員研修及び交流連携の充実強化)
第30条 議会は、議員の政策形成及び立案能力の向上を図るため、議員研修の充実強化を図るものとする。
2 議会は、議員研修の充実強化に当たり、山梨県町村議会議長会等の主催する研修会、先進地視察等に積極的に参加し、並びに広く各分野の専門家及び町民各層等との研修会を開催するものとする。
3 議会は、教育委員会、市川三郷町農業委員会等の機関及び他の団体との交流及び連携を推進し、分権時代にふさわしい議会の在り方について調査研究を行うものとする。
4 議員は、研修を行ったときには、議長に研修報告を提出するものとする。
5 議会は、研修を行うための財政措置を調査し、及び研究し、町長執行機関と協議しなければならない。
第6章 議会及び議会事務局の体制
(議長)
第31条 議長は、公正公平な選挙で議員のうちから選ばれ、的確で効率的な議会運営に努める。
2 議長を志す者は、議員に対して公開の場で自身の考えを示さなければならない。
(議会予算の運用)
第32条 議会は、二元代表制の趣旨を踏まえ、議事機関としての機能を確保するとともに、より円滑な議会運営を実現するため、必要な予算を確保し、健全な運用に努めなければならない。
(議会事務局の体制)
第33条 議会は、議員の政策形成及び立案能力の向上を図り、議会活動を円滑かつ効率的に行うため、議会事務局の調査及び法制機能の充実強化並びに組織体制の整備を図るものとする。
2 議会は、議会事務局の調査及び法制機能を充実強化するため必要と認めた場合には、専門事務員を配置することができる。
(議会図書室)
第34条 議会は、議員の調査研究のため、議会図書室を適正に管理し、及び運営し、誰もがこれを利用できるものとする。
(慣例及び申合せ事項)
第35条 議会は、先人から受け継いでいる慣例及び申合せ事項は、これを尊重するとともに社会環境、近隣の状況等により積極的に見直し、明文化する。
第7章 議員の定数、議員報酬等及び政治倫理
(議員定数)
第36条 議員定数は、市川三郷町議会の議員の定数を定める条例(平成18年市川三郷町条例第38号。以下「議員定数条例」という。)で定めるところによる。
2 議員定数の改正に当たっては、この条例の目的を遂行し、機能を発揮するため、人口、面積、財政力、町民意見等を総合的に考慮し、議会が町民全体の福祉を向上させる観点から討議し、適正な定数を決定することができる。
3 議員定数条例の改正案を議員又は委員会等から提出する場合は、検討経過を明らかにしなければならない。
4 議員定数条例の改正案が町民の直接請求又は町長執行機関により提出された場合は、議会は、真摯に受け止め慎重に審議しなければならない。
(議員報酬)
第37条 議員報酬は、市川三郷町議会議員の議員報酬及び費用弁償等に関する条例(平成17年市川三郷町条例第44号。以下「議員報酬条例」という。)で定めるところによる。
2 議員報酬額の改正に当たっては、市川三郷町民所得推計、町の職員給与、町の財政状況等を総合的に考慮し、議会が町民全体の福祉を向上させる観点から討議し、適正な議員報酬額を決定することができる。
3 議員報酬条例の改正案を議員又は委員会等から提出する場合は、検討経過を明らかにしなければならない。
4 議員報酬条例の改正案が町民の直接請求又は町長執行機関により提出された場合は、議会は、真摯に受け止め、慎重に審議しなければならない。
(政務活動費)
第38条 議員は、別に定める議会政務活動費の交付に関する条例に基づいて交付される政務活動費を有効に活用し、政策提言、審議等のための調査研究を積極的に行うものとする。
2 議員は、政務活動費の使途基準に従い、これを適正に執行し、常に町民に対し使途を明らかにするとともに、説明責任を負うものとする。
(費用弁償)
第39条 費用弁償は、議員報酬条例第5条に定めるところによる。
2 前項の規定にかかわらず、特別な出労及び職務困難な役職等にある場合は、必要な措置を講ずることができる。
(議会活動の継承)
第40条 議会は、この条例にのっとった議会活動を将来に継承するため、努力しなければならない。
(政治倫理)
第41条 議員は、町民全体の代表者として政治倫理を常に自覚し、自己の地位に基づく影響力を不正に行使することによって、町民の疑惑を招くことのないよう行動しなければならない。
2 議員は、地域行事等の参加負担及び寄附等の行為については、公職選挙法(昭和25年法律第100号)の規定によるものとする。
第8章 最高規範性及び見直し手続
(条例の見直し)
第43条 議会は、必要に応じて、この条例の目的が達成されているかどうかについて検証するものとする。
附則
この条例は、平成25年10月1日から施行する。